【基礎】ブロックゲージの等級と材質の選び方|測定器の「校正」と正しい管理法

測定の基準となる精密なブロックゲージのセット 品質管理/品質保証

1.はじめに:そのマイクロメータ、本当に合っていますか?

「今日はなんだか測定値がバラつくなぁ…」 現場でそんな経験はありませんか?

測定器は使っていれば必ず摩耗しますし、落とせば狂います。 そんな時、「この測定器は正しい!」と証明するために必要な絶対的な基準。それが今回紹介する**「ブロックゲージ」**です。

私たち品質管理部にとっては「測定器の親分」とも言える、最も重要なツールです。今回はその基礎知識と、選び方、そして絶対にやってはいけない取り扱いについて解説します。

2.ブロックゲージとは?

ブロックゲージは、耐摩耗性に優れた鋼やセラミックで作られた、極めて平坦で、寸法精度の高い直方体のブロックです。

「長さの国家基準」と「現場の測定器」をつなぐ役割を持っており、これがないと工場の品質保証は成り立ちません。

3.最大の用途は「測定器の校正・点検」

ブロックゲージを単体で「製品の測定」に使うこともありますが、最も重要な用途は**「他の測定器の定期点検(社内校正)」**です。

  • ノギスやマイクロメータの器差確認: 例えば「25mm」のブロックゲージをマイクロメータで測って、ぴったり「25.000mm」と表示されるかを確認します。もしズレていれば、その測定器は狂っていることになります。
  • ダイヤルゲージやハイトゲージの基準合わせ(ゼロ点設定): 正確な「高さ」の基準として使用します。
  • 限界ゲージの摩耗点検: 使い込んだ栓ゲージが摩耗して小さくなっていないかを確認します。

このように、工場のすべての測定精度は、ブロックゲージによって守られているのです。

4.材質の選び方(鋼 vs セラミック)

昔は「鋼(スチール)」一択でしたが、最近は「セラミック」が主流になりつつあります。

特徴鋼(スチール)セラミック(ジルコニアなど)
価格安い高い(鋼の1.5〜2倍程度)
錆び錆びやすい(最大の弱点)錆びない
つきやすい(カエリが出る)つきにくい(非常に硬い)
熱膨張一般的な鉄と同じ鋼の1/3程度(温度変化に強い)

【おすすめ】 予算が許すなら、管理が圧倒的に楽な**「セラミック」**をおすすめします。 鋼製は、指紋がついたまま放置すると一晩で錆びて使い物にならなくなるリスクがあります。

5.等級の選び方(0級?1級?)

ブロックゲージには精度のランク(等級)があります。JIS規格での一般的な選び方は以下の通りです。

  1. K級(キャリブレーション用): 最も高精度。他のブロックゲージを検査するための「マスター中のマスター」。普通の工場にはまずありません。
  2. 0級(検査用・基準用): 品質管理部の測定室に置くならコレ。マイクロメータやノギスの校正用として最適です。
  3. 1級(標準用): 現場の定盤の横に置いて、ちょっとした治具の調整や、現場用測定器の点検に使います。
  4. 2級(工作用): 製造現場でガンガン使う用。ケガキ作業や機械のセッティング用です。

迷ったら、品質管理・校正用なら「0級」、**現場作業用なら「1級か2級」**を選べば間違いありません。

6.複数のサイズを作る「リンギング」

ブロックゲージは単体で使うだけでなく、2枚、3枚と密着させて(継ぎ足して)、欲しい寸法を作ることができます。

この密着させる動作を**「リンギング」**と言います。 接着剤も磁石も使っていないのに、まるで磁石のように強力にくっつく現象です。

このリンギング、実はやり方にコツが必要で、間違った方法でやるとゲージを傷つけてしまいます。 非常に奥が深い技術ですので、次回の記事で「正しいリンギングの方法」を動画や図解付きでじっくり解説します! お楽しみに。

7.命取りになる「取り扱い」の鉄則

最後に、これだけは守ってほしい注意事項です。

手袋をして慎重にブロックゲージを取り扱っている様子(素手厳禁)
  1. 素手厳禁! 鋼製の場合、指紋(酸)は天敵です。触った瞬間から錆が始まります。必ず**手袋か指サック、または専用のピンセット(木製やプラスチック製)**を使いましょう。
  2. 落下厳禁! 落として角が欠けたり、「カエリ(盛り上がり)」ができると、精度が出ないばかりか、相手の測定器や定盤を傷つけてしまいます。
  3. 温度管理(熱膨張) 金属は熱で伸びます。体温が伝わるだけでミクロン単位で変化します。測定前には定盤の上に置いて「温度慣らし」をしましょう。

8.まとめ

ブロックゲージは、工場の品質を支える「最後の砦」です。 適切な等級と材質を選び、正しく管理することで、お客様に自信を持って製品を届けることができます。

次回は、いよいよブロックゲージの真骨頂、**「魔法の密着・リンギング」**について解説します!

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