「測り方は違っても、精度の出し方は同じ。ベテランの『作法』をあなたのスキルに変える。」
この記事を読めば、ノギスやマイクロメータなど、どんな測定機器を点検する際にも絶対に外してはいけない「社内校正の共通ルール」が分かります。
⚠️ 読む前の注意点
この記事は【校正点検シリーズ】の第2弾です。 もしあなたが、「まだ校正の準備や環境作りが終わっていない」という場合は、先に以下の記事を読んでください。
👉 [【第1弾】測定機器の社内校正・導入ガイド|「前準備の大切さ」が全てを決める]
準備ができていない状態でいくら技術を磨いても、その校正は無意味になってしまいます。「準備はバッチリ!」という方のみ、この先へ進んでください。
✔ こんな悩みありませんか?
- 手順書はあるけど、実際の「力加減」や「準備」が合っているか不安
- 「リンギング」という言葉は知っているが、正しいやり方を教わっていない
- 測る人によって点検結果(数値)がバラバラになってしまう
執筆者の紹介:15年目の品質管理屋 aki
初めまして、akiです。15年、現場で品質管理の最前線に立ってきました。 実は僕も新人の頃、室温30℃の現場から持ってきたばかりのノギスを、涼しい検査室ですぐに点検して「合格!」と言い張り、先輩にこっぴどく怒られた経験があります。
測定器の種類(ノギス、ダイヤルゲージ、ハイトゲージ等)が違っても、「精度を狂わせないための準備と作法」は全て共通です。今回は、僕が失敗から学んだ「全機器共通の点検ルール」を分かりやすくお伝えします。

1. いきなり測るな!「温度慣らし」と「目視点検」
ノギスでもマイクロメータでも、点検を始める時にいきなり基準器(ブロックゲージなど)を当ててはいけません。 精度の高い校正をするためには、まず以下の2つのステップが絶対に必要です。
- 温度慣らし(最低30分以上): 金属は温度で伸び縮みします。「現場」と「点検する部屋」の温度差は、ミクロン単位の誤差を生みます。測定器とブロックゲージは、点検する定盤の上に最低でも30分以上は一緒に置いて、温度を完全に馴染ませてください。
- 五感を使った目視点検: 数値を見る前に、「サビはないか?」「スライドさせた時に引っかかりはないか?」を指先と目で確認します。ここで違和感(ガリガリする等)があれば、数値を測るまでもなくNGです。
2. 全機器の基準となる「ブロックゲージ」の扱い方
ほとんどの測定器の点検には、絶対的な基準となる「ブロックゲージ」を使用します。 このブロックゲージの扱い方が雑だと、すべての点検結果が嘘になります。
精度の命「リンギング」とは?
必要な寸法を作るために、複数のブロックゲージをピタッと貼り合わせる技術を「リンギング」と呼びます。 ここを適当にやると、間に空気が入ったりホコリを噛んだりして、正確な寸法が出ません。
【リンギングの基本ステップ】
- 徹底清掃: キムワイプに無水アルコールを含ませ、測定面を一方通行でサッと拭き取る。
- 十字に重ねる: ブロックゲージ同士を直角(十字)に軽く押し当てる。
- 回しながら密着: そのまま押し付けつつ、時計回りにスライドさせて一直線に重ねる。
💡 さらに詳しく知りたい方へ 「上手く密着しない」「サビさせてしまいそうで怖い」という方は、ブロックゲージの取り扱いとリンギングのコツに特化したこちらの記事も併せてお読みください!
3. 測定時の「力加減」と「当てる位置」
機器によって測り方は異なりますが、以下の2点は全ての点検において共通のルールです。
- 絶対に「力任せ」にしない: 親指でギュッと押し付けて数値を合わせてはいけません。ガタつきがなくなる「スッ」と当たる優しい力(測定力)で測ります。
- 摩耗しやすい場所を狙う: ノギスのジョウの先端や、マイクロメータのアンビルの端など、「普段の作業で一番よく擦れる場所」を意図的に使って点検します。ここが削れていなければ、全体も信用できます。
4. まとめ:次回は完結編!「記録と不適合処置」
今回は、測定機器を扱う上での「共通の実技ルール(作法)」をお伝えしました。
- 温度慣らし(最低30分以上)
- 五感を使った目視点検
- 正しいリンギングと測定力
この3つの黄金ルールを守れば、誰が測っても「正しい値」が出るようになります。
しかし、「正しく測って終わり」ではありません。 もし、正しく測った結果、数値が基準から外れていたら(NGだったら)どうしますか?その記録をどう残しますか?
次回、シリーズ完結編となる第3弾では、現場が最もパニックになる「不適合が出た時の処置(遡及調査)」と、監査で信頼される「成績書の書き方」について解説します。
導入編(①)、実技編(②)と合わせて、これで社内校正の全てが繋がります。お楽しみに!
👉 [次回:【完結編】不合格が出た時の処置と台帳記録の正しいルール へ進む]
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