【精密測定の基本】シリンダーゲージ|穴径の「内側」を0.01mmで極める

品質管理/品質保証

1. シリンダーゲージとは?

シリンダーゲージは、ボアゲージとも呼ばれ、エンジンのシリンダーやベアリングの受け穴など、穴の内径(内側の直径)を精密に測るための道具です。

ダイヤルゲージとの関係

シリンダーゲージは単体では機能しません。上部に**「ダイヤルゲージ」を差し込んで使用します。** 穴の中のわずかな動きをダイヤルゲージの針に伝える、いわば「延長アーム」のような役割を果たします。

シリンダーゲージの基準合わせ(ゼロセット)に使用するリングゲージ(50.00mm)のイメージ画像

2. 各部名称と仕組み

シリンダーゲージの測定ヘッド部と各部名称(測定ヘッド、測定子、ガイド、握り手)の解説イラスト
測定ヘッド:穴の中に入る部分。
測定子(接触子):実際に穴の壁に触れる部分。
ガイド(自動求心機構):穴の中でゲージが勝手に「真ん中」に来るように支えるバネ式の板。
握り手(グリップ):手の熱が伝わらないように設計された持ち手。

3. シリンダーゲージでしかできないこと

ノギスの「クチバシ」でも内径は測れますが、シリンダーゲージはここが違います。

  • 「奥」が測れる:ノギスが届かない深い場所の径を測れます。
  • 「歪み」が見える:穴の入り口、真ん中、奥を測ることで、穴がテーパー状(すり鉢状)になっていないか、楕円になっていないかを確認できます。

4. 正しい測定のコツ「振れ」を確認する

シリンダーゲージの測定で最も特徴的なのが、**「最小値を読み取る」**という動作です。

  1. 穴の中でゲージを左右にゆっくり振ります。
  2. 針が最も大きく振れた(=径が一番狭い、つまり真ん中を通った)瞬間を読み取ります。
  3. この「最小値」が正確な内径となります。

5. セットアップには「マスタ」が必要

シリンダーゲージは「差」を測る道具です。 あらかじめ「基準となるリングゲージ」や「マイクロメータ」でダイヤルゲージの**ゼロセット(基準合わせ)**を行う必要があることを覚えておきましょう。

6. まとめ:シリンダーゲージを使いこなしてこそ「プロ」

シリンダーゲージは、ダイヤルゲージと組み合わせて使うことで、ノギスでは決して届かない**「穴の深部」や「わずかな歪み」**を正確に教えてくれる頼もしい道具です。

今回のポイントを振り返ってみましょう。

  • ダイヤルゲージとの連携:上部に取り付けたダイヤルゲージが、穴の中のわずかな変化を可視化する。
  • 穴の「歪み」を検知:入り口・中央・奥と測ることで、目に見えない楕円やテーパー(すり鉢状)を発見できる。
  • 「振れ」の最小値を読む:穴の中でゲージを振り、針が最も戻った瞬間を読み取るのが正確な測定のコツ。
  • マスタ合わせが不可欠:必ず基準(リングゲージやマイクロメータ)を使って、ゼロセットしてから使用する。

最初は「最小値を読み取る」という独特の操作に慣れが必要ですが、これを使いこなせるようになれば、あなたの測定スキルは間違いなく一段上のレベルへ到達します。

測定物の形状や精度に合わせて、ノギス、ハイトゲージ、そしてシリンダーゲージを正しく使い分け、信頼される品質管理を目指しましょう!

※ダイヤルゲージの記事はこちら

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